山笑う、天国の日々。
●この季節が昔から好きだった。
家の角にある山桜の下で寝そべって南の山々を眺めるのが好きだった。
自分の原風景。暖かさの中で寝転び、のんびりと空想の世界に。春のキャベツの油炒めが美味しかった。農作業の苦労も味わう事なく、初めてする手伝いも新鮮だった。自分の手を使い木を切ったり、ソリを作ったり、野の草たちを食べたり、果物を木によじ登って取って食べた経験は新鮮だった。
●そんな経験が40数年後僕をここに呼び寄せた。
街で老年期を過ごしている自分が想像できなかった。山や海の近くで過ごしたかった。
海辺の方が開けていて、遠くが未来が開いている様に思えた。山は遠くが見えていても、その先に辿りつくのが大変。山は狭いところに留まり自由がない様に思えた。
●しかし実際には山に住んでいる。それも生まれた所からすぐ近くに。
静かなところで自分の心の奥深くを観て、そしていつか、また神様に出会うことを夢見てここにいる。
●嘘でしょう?